« 2010年06月 | メイン | 2010年08月 »

2010年07月 アーカイブ

ゴッホを知る

ゴッホはゴーギャンと2人で暮らしていたことがあります。


しかし事件が起ったのは、その日の夜のこと。


ゴーギャンは、のちに、こんなふうに回顧しています。


「夕方になると、私はいそいで食事をすませたが、ひとりで花盛りの月桂樹の香りをかぎに出たい欲望を感じた。


私は、すでにヴィクトル・ユゴー広場をおよそ通りすぎていたが、その時、背後に聞きなれた小刻みな足どりが、急に発作的に近づくのを感じた。


私はふりむいたが、その時フィンセントは、開いた剃刀を手にして私にぶつかってきた。


私の眼つきは、その時非常にきびしかったにちがいない。


彼は立ちすくんで顔をふせ、家の方へ走り去ったからである」。


家に帰ったゴッホは、左耳の下半分を切り取り、行きつけの娼家の、ラシェルというなじみの女にとどけました。


女は包みをあけて気絶し、大騒ぎとなります。


ゴッホを知る 2

耳を切り落としたゴッホはすぐに病院に運ばれます。


しかし「着くとすぐに、また、彼の頭脳は狂乱状態に陥った」のです。


この耳切りに関しては、闘牛の際、闘牛士が、切り取った牛の耳を自分の「婦人」か、気に入った女性の客に贈るという習慣に由来するという説もあるようですが、そのようなことについて、あれこれ詮索しても仕方ないでしょう。


わたしたちとしては、他人を傷つけることと自分自身を傷つけることとの区別がつかなくなったひとつの精神状態を見てとれば足りるのです。


このときゴッホが運びこまれた市立病院は、ファン・ゴッホ病院と名前をかえて今も残っています。


先年アルルにでかけたときに、もちろんこの病院も訪れましたが、建物の様子も庭の眺めも、ゴッホが入院中に描いた作品に見られるものと、大して変わっていないようです。


わたしは、男子病棟の前の、ゴッホが画架をすえたという場所に立って、南仏らしい明るい陽に照らされてしんとしずまりかえった庭を眺めました。


すると突然、私の真後ろの窓越しに、何か話し合っている患者の低い声が聞こえてきて、ひどく心を動かされたものです。


100年近く前、あるいはこの同じ病室で、ゴッホが、薬のにおいや、熱っぽい病人のにおいに囲まれて横たわっていたということが、一種の物狂おしさをもって思い起こされたからです。

About

2010年07月にブログ「きらきらな世界」に投稿されたすべてのエントリです。新しい順に並んでいます。

前のアーカイブは2010年06月です。

次のアーカイブは2010年08月です。

他にも多くのエントリがあります。メインページアーカイブページも見てください。

管理人のお気に入り

Tomcat

Tomcatサポート、Tomcat保守、Tomcat関連サービスに関する特設サイトです。

宅配 クリーニング

きれいが違う!ベクセルクリン25で洗う【全国宅配】宅配 クリーニング・保管 クリーニング・洗濯代行(送料保管無料)

  • 物流倉庫
  • 発送代行や物流倉庫をお探しなら、ネットショップ専門の物流倉庫会社に無料で一括見積依頼できる「EC物流倉庫ナビ」!ネットショップ・通販梱包発送、発送代行、通販物流、出荷代行、物流アウトソーシングの業者を無料でご紹介します。
登山

iCi 石井スポーツはアウトドアーの楽しさ、美しさを提案します。身も心も開放してくれる自然と出会うために、週末はちょっと足を伸ばして気軽に非日常的な感覚を楽しみたいものです。快適に、そして安全に、つかの間の一日を過ごすために最低限の基本装備をしっかり揃えることができる登山とスキーの専門店です。ウォーキングからエベレストまでサポートいたします!