オーストラリアの文学「国際派作家とノーベル賞作家」・・・その5
ホワイトの代表作の1つである『ヴォス(邦題)』(1957)は、実在するオーストラリア大陸の探検家の日記を基に書かれたものですが、ヴォスというドイツ人の探検家の物語に仕立てられています。
これは文字どおり探検小説、あるいは女主人公ローラとの恋愛小説として読むこともできます。
しかしヴォスが実際に突き進んでいく不毛な砂漠の広がる未知なる大陸を、文化的な空白といわれるオーストラリア社会として比喩的に捉え、オーストラリア文化のアイデンティティを探る物語として読むことも可能です。
この砂漠を、20世紀という神不在の時代に見立て、人間の能力の可能性を探究するという形而上学的解釈も可能です。